10.線形と非線形
線形解析では微小変形状態を前提にして荷重Wと撓みδが比例関係(Wとδのグラフは直線)にある。 しかし実際にはほとんどの現象では荷重を大きくしていくと微小変形とは言い難くなり比例関係から離れていく。
【両端支持梁の例】
両端は固定支持で、中央に集中荷重を掛けた場合を計算した。


線形解析では梁の純粋な曲げ剛性だけで計算されている。(@のカーブ)
実際には撓みが大きくなるとはりは伸びる(大変形)ので、桁違いに大きい引張剛性も加わりたわみ難くなる。(Aのカーブ)
しかし、材料の降伏(材料非線形)を考慮すると降伏後には伸び(曲がり)易くなる。
(Bのカーブ)
このように変形が大きくなると計算結果は大きく異なるので、非線形要因を考慮した計算が必要になる。
ただし非線形解析は妥当な計算結果を得るまでにはノウハウや工数も掛かることが多いので、精度をそれほど問題にしないなら誤差(適用限界)を念頭に入れて線形解析に留めるのが、構造解析活用に当たっては望ましいと言える。