タンク用架台の耐震強度
タンク用架台を 従来の”構造計算”と 弊社の”構造解析” で耐震強度を確認・比較しました。
計算条件
実重量 W=23.3kN
水槽の有効重量 Wo=18.4kN
設計用水平震度 Kh=0.6 設計用鉛直震度 Kv=0.3
設計用水平地震力 Fh=11.0kN 設計用鉛直地震力 Fv=5.50kN
重心高さ Hog=59cm
重心位置 Lg=54cm
============== 従来の構造計算 ==============
●地震入力
転倒モーメント M=Fh・Hog=649kN・cm(燃料タンク底部)
Mb=M+Fh・H=2410kN・cm(架台底部)
●部材の強度確認
イ. 柱材の強度
圧縮力 Nc=Mb/(α1・L)+W(1+Kv)/α2=18.8kN
※α1:その方向の構面数、α2:全柱本数
柱材 L-65×65×6 断面積 A=7.53cm^2、断面二次半径 Imin=1.27cm
柱材座屈長さ Lk=160cm、細長比 λ=Lk/Imin=126
許容圧縮応力 Na'=A・Fc'=66.4kN>18.8kN → OK
ロ. ブレース材の強度
引張力 Nb=Fh/(α3・cosθ)=9.86kN ※α3=その方向のブレース数
ブレース材 L-50×50×6 断面積 A=5.64cm^2
有効断面積 Ae=A-(L・t)/2-d・t=3.12cm^2
※L:アングルのせい、t:アングルの板厚、d:ボルトの孔径(M16…1.7cm)
許容引張力 Na'=Ae・Ft'=73.3kN>9.86kN → OK
ハ. アンカーボルト(柱当り)の検討
引抜力 Nt'=Mb/(α1・L)-W(1-Kv)/α2=7.12kN
せん断力 Fh'=Fh/α2=2.75kN
設置工法(埋込式J型)の表より、許容引抜力 Ta=9.0kN>Nt'
ボルトの許容応力度図より総本数、径は4本-M8でよい。
ニ. 取付けボルトの検討
片側本数 nt=2本 総本数 n=4本
ボルトスパン L=108cm
引抜力 Rb={Fh・Hog-(W-Fv)・Lg}/(L・nt)=-14.4kN/本
せん断力 Q=Fh/n=2.75kN/本
ボルトの許容応力度図より総本数、径は4本-M8でよい。
変形状態をイメージし難いので構造計算の専門家以外は改良案の検討が難しい
============== 弊社の構造解析 ==============
上記内容を構造解析モデルにより検証した。
タンク重心に設計用地震力を、上部アングルにはタンク重量をかけ、アンカーボルトを拘束した。
下図は鋼材(SS400)の応力で、材料の降伏値235MPaより十分に小さく問題ない。(タンク取付けボルト穴周辺応力はタンク自体を簡略化したことによるもので無視している)
ボルトに掛かる荷重を下図に示す。
M8ボルトの最小断面積は34.7mm^2であるから
アンカーボルトの軸応力=6371N/34.7mm^2=184MPa < 235MPa(許容応力)
アンカーボルトのせん断応力=2950N/34.7mm^2=85MPa < 136MPa(許容応力)
取付けボルトの軸応力=4349N/34.7mm^2=125MPa < 235MPa(許容応力)
取付けボルトのせん断応力=2751N/34.7mm^2=79MPa < 136MPa(許容応力)
構造解析では工学的知識のある人なら、変形状況を理解でき改良検討も容易
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